日本は比較的まんべんなく明るい室内が多いので、欧米と比べると光や影を意識することは少ないかも知れません。
さんさんと降り注ぐ太陽光が差し込む明るい室内が人気ですが、昔の住まいはある程度の軒が出ていて、部屋の奥に行く程に暗くなっていったものです。昼間でも明るい所と暗がりがあった方が、かえって雰囲気は良かったりします。
光と影をもっとも上手に使っているのは、写真家の人ではないでしょうか。光と影を巧みにつかった沢山の雰囲気のある写真を見つけることが出来ます。
照明というと器具のデザインばかりに注目が集まりがちですが、器具のデザインはインテリアの雰囲気を作るための一つの要素でしかありません。一番大事なのはどのような雰囲気を作りたいかということ。
自宅をアットホームでリラックスした雰囲気にしたい場合は、照明の色温度を低くして、光を弱くします。光と影のコントラストも弱めにすることで、全体的に柔らかい雰囲気がつくれます。
反対に職場や作業場などの緊張感が必要な場所では、白い光や少し強めの照明を選ぶと良いのではないでしょうか。白い光や強い光はモノがはっきり見えると同時に、適度な緊張感も生み出します。
影を意識して空間に陰影をつけると奥行きや立体感が出ます。光と影のコントラストや、光の強弱によっても雰囲気は大きく変わります。
例えば、ラグジュアリーな雰囲気を演出したい場合は、光と影のコントラストが強くすることで、よりドラマチックな印象が演出できますし、アットホームで落ち着いた雰囲気にしたい場合は、前述のようにコントラストを弱めにすると良いでしょう。
光の強弱やコントラストはどちらも暗い部分と明るい部分の両方があって成立します。明るいだけだと光自体を感じることすら出来ません。美味しい食事も毎日同じものを食べ続けていると、それが美味しいのかすら分からなくなるようなものです。
照明も同じで、影があるからこそ、光が生きてくるのです。そういった面では、今の暮らしは少し便利で快適になり過ぎているのかも知れませんね。
LIVING WITH LIGHTS | 心地よい暮らしの照明術
IN THE LIGHT Lighting Design & Interiors
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