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執筆者の写真ノグチユウイチロウ

心地よい暮らしの照明術

更新日:2021年12月12日

『心地よい暮らしの照明術』を始めて、いつの間にか一年が経ちました。

最近はコラムを読んでいただいているという方から直接お声がけを頂くことも増え、購読者がそれほど多いわけではないはずですが、投稿が想像以上に影響力を持っていることに驚くばかりです。


その一年経過を記念してではありませんが、『心地よい暮らしの照明術』が誌面でも連載することが決まりました。地元・熊本の経済誌「くまもと経済」の別冊『espresso(エスプレッソ)』vol.28(12月末頃発行予定)から連載が始まります。


これまではSNSを通じて知る人ぞ知るといったこのコラムですが、一般誌に掲載されることでこれまでとは違った方々の目にも触れる機会が増えることは、照明やインテリアに関心が無かった方にも興味を持って貰えるきっかけ作りとしてはとても良いのではないかと思いました。


「エスプレッソ」という雑誌も”濃厚で味わい深い大人の時間”というサブタイトルの通り、大人のライフスタイル誌として熊本の情報を発信していて、経済誌の別冊ということもあり今後どのような反響があるのか楽しみでもあります。


さて、肝心な『心地よい暮らしの照明術』と言いますと、タイトルに照明術とあるものの照明の話以外も多く”タイトルに偽りあり”との声も聞こえてきそうですが、単に「オシャレな照明の部屋で暮らすと心地良いですよ」とか、「オシャレな照明を紹介します」といったものではなく、照明やインテリアを通じて「心地よい暮らし」や「豊かな暮らしとは何か」といった本質的な部分を追求していくものです。


オシャレな家に暮らすことを否定はしませんが、オシャレな家で暮らしてSNSへ投稿することが本当に人生を豊かにすることなのかといえば些か疑問です。インテリアは自分の内面を整えることとイコールです。他人に見えないからといって疎かにする人は見栄えばかりを気にしている人でしょうし、素敵なインテリアでも他人に見せるために作られたものはちっとも魅力的ではありません。


セレビリティーの中にはこれ見よがしに高価なものをSNSにアップしたり、宣伝紛いのステルスマーケティングを行う人も少なくありません。そのような人を見て羨ましがったり真似をしてみても、その時は満足感や優越感を得られたとしても虚しいだけです。


本当に大切なのは自分が生涯を共に出来るような素晴らしいものとの出会いや経験ではないでしょうか。それは他人の影響で得られるのではなく、自分自身が見て触れて感じることから始まるのではないでしょうか。


SNSは本当に便利なツールだと思います。会ったこともない人とコミュニケーションを取ることが出来たり、有名人や憧れの人の日常を垣間見たり、家族や友人でさえ会わなくてもさも会っているかのような気にもさせてくれます。

しかし、本当に大切なのはSNSのフォロワーの数ではなく、本当に大切な人の数であり、その人と過ごす時間なのではないでしょうか。


私はこの『心地よい暮らしの照明術』の中で照明器具のブランドや商品を紹介したことはありません。何故なら「灯りの本質的な価値」にブランドや商品は関係ないのです。確かにルイスポールセンやフロスの照明は素晴らしいものです。しかし、それはポール・ヘニングセンやアキッレ・カスティリオーニらがよりよい暮らしやデザインを追求して結果に生まれたものだからに他なりません。オシャレなデザインの照明を作りたいとか、もっと売れる照明を作るといったものはなく、人々がもっと快適で素晴らしい住環境で暮らすことを目指したからこそ生まれた発想であり、デザインなのです。


その後にオマージュといわれるような同じようなデザインの商品や近年でもジェネリックといわれるような模倣品の数々が作られるのですが、ルイスポールセンやフロスが健在で、いまだにデンマークやイタリアで生産され、世界中の人々を魅了していることを考えると、その本質的な価値が不変であることを証明しています。


私は『心地よい暮らしの照明術』では、そのような人間の持つ不変的な価値観を追求することで、物質的な豊かさではない”本当の豊かさ”を読者の皆様と享受していきたいと思っています。


このような時代だからこそ、本物の価値やそれに触れる機会の大切さを改めて感じるとともに、『過ぎたるは猶及ばざるが如し』という言葉があるように人は便利なものや世の中を求めてきたものの、行き過ぎた社会は人々を疲弊させ、地球環境を壊しているという現実にも直面しています。


お金さえ出せば何でも手に入る時代だからこそ、お金では買えないものの大切さに気が付くのでしょうし、またそのようなものを求めるようになっていくのだと思います。


照明というものはシャンデリアのように煌びやかで豪華なものもあれば、裸電球のような簡素なものもあります。しかしながら、それらから放たれる光は普遍的なものであり、その灯りによって作り出される情景こそが人の感情を揺さぶるのです。東京や香港の様々な色のネオンが入り混じった煌びやかな夜景もキレイですが、ロサンゼルス・グリフィスパーク天文台から見えるオレンジ一色の夜景は感動的ですらあります。


住まいの照明によって作られる日常の灯りもただ明るい暗いだけでなく、美しい情景を作り出すような灯りの下で暮らすことが私たちの暮らしをどれほど豊かにしてくれるかは想像に難しくないのではないでしょうか。


まさに『心地よい暮らしの照明術』とはそのような情景を暮らしの中に取り入れるべく術を考えることがテーマであり、そこには人の不変的な価値観がどのようなものであるかを知ることが不可欠なのです。


 

『居心地のよい灯りと暮らす』


灯りは暮らしに美しい情景を生み出し、何気ない日常を特別なものにしてくれるもの。私たちは照明とインテリアデザインで豊かな灯りのある暮らしをご提案します。


IN THE LIGHT Lighting Design & Interiors

熊本県熊本市北区武蔵ヶ丘1-15-16







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