素晴らしい建物は建築当初だけでなく、時間を経過してなお人々に愛され続けます。もし、日本にある建物の多くがそうだったなら、日本の街並みも今とは全く違ったものになっていたでしょう。
しかし、現実にはそのような感情を引き出してくれる建物はほんの僅かしかありません。
多くの建物は年月の経過とともにそのデザインも風化していき、それは建物自体の劣化よりの遥かに早く、「見栄え」という皮は時代と共に剥がれ落ちていくのです。
建物の多くの方は設備が古くなったことがきっかけにリフォーム・リノベーションをされますが、建物自体は取り壊すほどではなくてもリニューアルを考慮して建てられてないことが理由で、結果的に建て替えになることも少なくありません。
本来、建築は衣や食と違い、数十年という長い時間を経過しても存在し続けるもの。それゆえ時代のトレンドと共に風化しない普遍的な価値が求められます。
都心のヴィンテージマンションは竣工からいずれも数十年を経過しているにもかかわらず、いまだに住みたい人が跡をたたず、1964年の川口アパートメントを筆頭に多くのヴィンテージマンションが人気のようで、中でも1983年の広尾ガーデンヒルズはその筆頭格ともいわれています。
建築当初は高値の花だった高級マンションも竣工から数十年が経過し、当時よりは価格的に手が届きやすくなっていることも理由の一つでしょうが、時代が変わっても変わらない魅力が建物に残っていることがもっとも需要だといえるでしょう。
当時の高級住宅として建てられたマンションは設備が古くなっても、建物そのものを構成するコンクリートや大理石・タイルといった本物の素材が持つ優雅さや気品は時間が経過してもほとんど変わりません。
トレンドを意識したものやフェイクは時代と共に廃れていきますが、本物は経年変化で味わいが増していき、丁寧な維持管理がなされていれば、いつまでも変わらずに輝き続けるのです。
また、室内の間取りや広さなど空間にも多くの余白があり、リフォームやリノベーションがし易いことも重要です。
人生のライフステージによって家族構成は変化しますし、それに伴い必要な間取りも変わります。設備も10〜20年毎にリニューアルが必要です。
間取りに制約がある建物は将来的には住みづらいだけでなく、それが理由で取り壊しになることもあるほどです。
上辺だけ立派な建物と違い、計画当初から将来を見据えたプランニングされた建物は資産価値を担保してくれます。
さらには、そこで暮らす住民だけでなく、近隣や街の人々にとっても誇りを感じるもの。単に古いだけではヴィンテージマンションとは呼ばれません。
そのような普遍的な価値を持った建物は間違いなく、これからも多くの人に愛され、大切に受け継がれていくことになるでしょう。
建築とは本来、そのようなものであるべきではないのでしょうか。
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