夜に住宅街を歩いていると突然センサーライトの光に照らされることがあります。また、街灯や門灯などの光も目にするのですが、それらの多くは光源が露出し、比較的目線に入る高さにあるので眩しさ(グレア)を感じることが多いと思います。
グレア(glare)とは照明の光が原因で起きる不快感や目に残る残像のことで、グレア現象は照明と周囲との明暗の差が大きい場合に発生します。このため、前述のような夜の住宅街で頻繁に発生することが多くなるのです。
そのようなグレアが多発する原因は照明に対する知識不足が原因で、単純に明るく照らせば良いと思ってスポットライトを適当に設置すると思わぬ”光害”を招き、近隣住民からクレームが入ったりすることもあります。
時々見かける地面から上に向かって植栽をあおるように設置されたスポットライトは、光が通行人の目線に入るだけでなく、向かい側の建物の2階へ強い光が放射されることもあります。
これまで照明は上から光が放射されるのが普通でしたので、グレアだらけの光環境だったとしてもそれほど気になることもなかったのですが、最近は防犯や外構を気にする人が増えたことやLEDの普及によって電気代をそれほど気にすることがなくなったなど、それらによって以前よりも住宅街の照明問題が顕著になってきたようにも感じます。
そのようなグレアが起こり難くするには、光を弱くするか反対に周囲を明るくしたりして明暗の差を少なくしてあげる他、照明器具の光源が直接目に入らないような間接光にする方法などもあります。同じ照明器具でも、配置する場所によってもグレアを感じたり、そうでなかったりもするのです。
また、光にはグレア以外にも集中力の低下やストレスなど様々な害を引き起こす可能性もあります。ライティングデザイナー(照明デザイナー)の仕事は、そのようなグレアを考慮した光環境を整えることも役割の一つです。
20世紀の照明デザイン界を代表するデンマークのポール・ヘニングセンは単にランプをデザインするだけではなく、人々が心地よいと感じる光を目指してきました。
照明は明るすぎたり、暗すぎたりせず、ちょうどよい明るさが本当の「心地よさ」を生み出すのです。
“過去の技術者たちは、照明によって夜を昼に変えるという夢を持っていました。
しかし、私はその夢は間違っています。それはクリエイティビティの欠如であると思うのです。
人には夜と昼のリズムが必要です。
けして夜が昼になってしまうようなことになってはいけないのです。”
Poul Henningsen(ポール・ヘニングセン)
LIVING WITH LIGHTS | 美しい灯りと暮らす
IN THE LIGHT Lighting Design & Interiors
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