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執筆者の写真ノグチユウイチロウ

50代の暮らしと住まい

結婚や出産、子離れや退職といった人生の転機をきっかけにライフスタイルも大きく変化します。40代までは夫婦が一つの寝室を共にしていても、50・60代になると別々の寝室を持ち、それぞれの趣味を楽しみながら適度な距離感を保ちたいという話もよくお聞きします。


30・40代といった若い世代がシニアの生活をイメージするのは難しいかもしれませんが、年齢を重ねると共にさまざまな変化が起こり、どのように工夫する必要があるかを知ることは、長期に渡って快適な暮らしを維持するのに大切なことです。


若い頃はそれほどストレスを感じていなかったような人でも、50代をむかえる頃に始まる更年期障害のように体調や精神状態も加齢と共に変化していきます。また、近年のキャンプブームなどは過度なデジタル情報社会のストレスによって、人が自然に回帰する現象の一つなのかもしれません。


コロナ禍の巣ごもり生活でストレスを感じている人が多いと思いますが、退職後のシニア世代にとっては普段から外出する機会や社会との接点が少なく、家の中にいる時間が必然的に多くなります。退職後は家にいる時間が大半を占めるようになり、夫婦が共にいる時間も圧倒的に増えます。


充実した福祉社会の代表として知られる北欧の住まいは床面積が広いのが特徴で、住まいの広さはシニアの生活を豊かにする要因の一つです。また、キッチンを始め、各部屋に大きな窓をデザインし、美しい景色や四季を楽しむだけでなく、光をふんだんに取り入れてメラトニンの分泌を促すことで生体リズムを整え、穏やかな暮らしをかなえています。


夜の灯りについていえば、光源が直接目に入るようなシーリングライトやダウンライトのような天井照明は眩しさやストレスの原因となり、逆に手元に必要な照度を十分に満たしてくれないのです。


住まいにおける暮らしの質を高めるには、光と風を取り入れ、部屋からの眺めを考慮した住環境はとても重要です。一日の光の変化や四季の移ろいが住み手の感性を適度に刺激します。日中は太陽の光に当たり、夜になると柔らかな灯りのもとで心身ともにリラックスした時間を過ごす。このような生活リズムによって健康的な生活を送ることができるのです。


ある研究では ①白い壁の部屋、②木の壁の部屋、③両方を組み合わせた部屋 のそれぞれで過ごした患者の中で、③で過ごした患者が一番早く退院したという結果が出ており、無機質な空間よりもインテリアの多様性が体の治癒力を高め、寿命にも影響を与えることが実証されています。


そのようなシニア世代にとっては、自分たちが本当に居心地がよいと思う住環境を整え、四季や自然を感じる住まいに暮らすことがとても大きな意味を持つのです。


マイホーム購入してずっと同じ家に住み続けるという人も多いと思いますが、歳を重ねていくと人生のライフステージに合わせて暮らし方も変化していきます。


50年前の住宅では今でこそ当たり前となっているLDKといった概念はなく、リビングとダイニング・キッチンは別々が普通でした。親世帯と子世帯の2世帯が一つの住まいに暮らすのも普通でしたし、子供の数も今よりも多いので当然ながらそれぞれの個室などもありません。


また1960年代ではマンションも大衆向けではなく、先進的な住宅として高得層に向けのいわゆる高級マンションが立ち始めた頃。かの有名な国民的テレビアニメ「サザエさん」の放送が始まったのが1969年。サザエさん一家が住むあのスタイルこそが、まさに当時の一般的な家庭そのものです。


今では核家族化が進み、共働きが当たり前の生活スタイルが一般的です。家の中でも一人一部屋、クルマや自転車、テレビやパソコン、スマホだって一人一台が当たり前。しかし、サザエさんの家にはそれらのどれもありません。それでも一家団らん、仲良く暮らしている様子が変わらす描かれることを考えると、”人間の普遍的な幸せ”がいつの時代でも変わらないことを証明しているのではないでしょうか。


今でこそ当たり前の暮らしやライフスタイルも、長い人生の中で変化していくものです。

マイホームを購入する際には将来どのような暮らしを営むか十分に考慮し、暮らしの変化にも柔軟に対応できるだけの選択肢を残しておくことは大切な考えだと思います。


近年の長寿命化に伴い、日本でも長く暮らせる住まいのあり方を考える時期を迎えています。

空間のゆとりや可変性、豊かな室内環境などこれからはシニアの暮らしも考えた家づくりがますます重要になってくることでしょう。


 

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