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執筆者の写真ノグチユウイチロウ

リフォーム・リノベについて(後編)

更新日:2021年2月22日

自宅の一部リフォームをきっかけに、自社でリフォームやリノベーションを始めることを決意してから2年。ようやく1軒目の本格的なリノベーションを手掛けることになったのが、自社の事務所からショールームへのリノベーション(コンバーション)です。


構想から1年余りが経ち、先月ようやく工事着工となったのですが、実際に解体を始めると予想通り?の雑な作りに、結局は建物の躯体以外はほぼ撤去し、急遽スケルトンリノベーションにすることになりました。周りからはテナントなのに、そんなことしてもったいないと言われることもありますが、スクラップ&ビルドを前提にした安価で適当なモノづくりは、他でいくらでも目にすることができます。いろんな場面でサスティナブルというキーワードが広がりつつある今、建築においてもスクラップ&ビルド以外の選択肢が必要な時代になってきたのではないかと。


これまでの建物や内装は新築時が最も価値が高く、あとは経年と共に低下していくだけです。歴史を重ねた素晴らしい建物は、年数を経ても資産としての価値があると思っていますが、残念ながら日本においてはほとんどが取り壊されていくのが現状です。


テナントでも素晴らしい内装デザインによって、その空間に魅力を感じる人がいれば、そのままの状態で次の借り手が見つかるかもしれませんし、その内装だからこそ借りたいという人も出てくると思います。いつの時代でも素晴らしいデザインには存在するだけで価値があると思っています。


私はヴィンテージ家具を始めとするミッドセンチュリーに作られた家具が大好きです。

何故なら「上質なデザインや家具を多くに人の手に渡るように」と考えた作り手たちの情熱が形となって、歴史に残るような素晴らしいオリジナルなデザインの家具がたくさん輩出された時代だからです。

本当に良いモノはデザインや素材だけでなく、作り手を始めとするモノづくりに関わる全ての工程に関係しています。

どんな良い素材でもデザインが良くなければ長く使うに耐えられないし、素材・デザインが良くても作り手が手を抜いていては、これまた成り立ちません。


これまでいくつものリフォームやリノベーションを見てきて、「せっかくやりかえるのに見えない部分だからといって、ボロボロのままではもったいないなあ。」といつも思っていました。

「どうせ見えないところだから」といってお金はかけない、気にしないという考えも馴染めないものでしたし、せっかくやるのなら気になる箇所は出来るだけ直しながら、より快適に長く住める住まいを作りたいと考えていました。


家も手入れをしないと経年ごとに劣化していき、最後は単なる消耗品としかなりませんが、大切に手入れしながら住み続けられた家は経年変化を楽しみ、愛着が増していくものです。使い捨てを前提に作られた安価なフェイクはちょっとした傷でも気になりますが、本物の素材はそういった傷でさえも、家族の歴史としてとして捉えることが出来る大らかさも備えています。


家も人と同じで初めから完璧である必要はありません。

長い年月をかけて人も家も変化を楽しみ、共に成長していく。つまり、リフォームやリノベーションというのは人生のライフステージに合わせて、まさに衣替えをするようなものなのかもしれません。

その時々のライフスタイルや家族構成などに応じて、家具を変えたり、間取りを変えたり。そうやって少しづつ家も人も成長し、理想の自分や住まいに近づいていくことで、私たちは歳を追うごとに人生をより楽しく豊かに暮らしていくことが出来るようになるのではないでしょうか。


自社で始めたリノベーション事業もまだこれからですが、「〇〇月〇〇日リニューアルオープン!」と決めてバタバタと進めていくよりも、一つ一つをしっかり考えながら丁寧に作っていくことの方が大切だと気付かされます。

モノづくりとは、そういった思いを積み重ねていった結果なのだと思います。

そういった意味でも、今回のリノベーションで出来上がったモノがどのような形になるのか自分でも楽しみです。




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