築50年近く経つ私の実家はこれまでに何度か大きなリフォームを行い増改築を繰り返してきましたが、その度にキッチンや浴室などの設備を入れ替え最新のものを取り入れています。しかし、それを繰り返していると古いままの部分がますます気になってきます。
最終的には建て替えを検討するようになるのですが、そのような暮らし方が果たして良いものかと...画してそれまで数百万・数千万と注ぎ込んだお金はどこえやらと、住宅ローンを完済した後は今度は親子2代に渡って住宅ローンを組み建て替えをする羽目になります。
私は古くなったものを壊して新しいものへ交換するようなリフォームやリノベーションではなく、古くても良い部分(味がある部分)を出来るだけ残しつつ、その時のライフスタイルや好みに合わなくなった部分だけを遣り替えるような年数相応のリフォームやリノベーションをオススメします。
これまでのようにある部分を新調したら、次から次へと他の古い部分が気になり始めます。そうなったら最後は建て替えを検討するしかなくなります。モノは年数が経てば古臭く感じるのは当たり前、新しいものと比較すれば不便で使い勝手が悪いのは仕方がないのです。
しかし、家を人に例えるなら、50代の人が20代のファッションを身に纏って若返りを図っているようなものです。しかし、それはあまり魅力的ではないような気がします。私が若い頃に魅力的な大人の人を見るたびに、いつか自分もそのようになりたいと思ったものです。本当に素敵だなと感じるのは年齢相応のファッションを楽しんでいる人です。単なる見た目の若々しさは返って年齢とのギャップを感じさせるだけ。
人も住まいも経年と共に傷やシミや不具合が出るのは仕方のないことです。それを無理に隠すのではなく、上手く付き合っていくことこそが人生をより楽しく豊かにしてくれるものと思います。
そのような視点に立って考えると、果たして今のままの家づくりで良いのかといった疑問を感じる方も少なくないのではないでしょうか。
家も家具も新品が良いを考えている人は多いと思いますが、モノは大事に使っていくことで愛着が湧き、傷やシミが出来ても許容できるようになります。また自分で修理したりすることでモノとの間に記憶や思い出も育まれます。そうなるとますます手放すのが惜しくなって、それはきっと新品では変え難い存在になると思います。
家や家具といったものは単なる消耗品ではなく、共に長い時間を過ごした人生のパートナーともなります。大切な時間を共に過ごすパートナーだと考えれば、それらとどのように向き合うのが良いのか分かってきます。
私がモノを選ぶ基準は、「シンプルなデザインで長く使えるもの。丈夫で使いやすく質感の良いものに惹かれます。そして何よりも第一印象をとても大事にしています。」
その時だけの流行りのスタイルや今しか必要としないようなものは出来るだけ買わないようにしていて、自分が使ったお金がその購入先だけでなく、その生産背景にまで影響を与えていると考えると選挙で誰に投票するのかといった感覚に近いのだと思います。
これからは「家を買う」から「家と暮らす」といった考え方へシフトしていくことで、これまでとは違った”住まいの在り方”が見えてくるのではないでしょうか。
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